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iGEMer からEntrepreneurへ。科学で得た知見を産業化する挑戦

iGEMer からEntrepreneurへ。科学で得た知見を産業化する挑戦

by Takashi Yamanashi
English Version

Epistra Inc. CTOであり、iGEM Osaka 2012 & 2013 (Leader) のメンバーであった、Taku Tsuzukiへのインタビューです。彼は、iGEM Team Leaderでの経験から、2社の会社を創業を行ったEntrepreneurです。


iGEMとの出会い

  • あなたのiGEMとの出会いはどのようなものでしたでしょうか?

高校生の頃から、合成生物学に漠然と興味を持っていました。過去のiGEMerの[ブログ](http://www.chem.scphys.kyoto-u.ac.jp/nonnonWWW/b8/08f/hatakeyama/iGEM_Sansenki.pdf) を読んだことをきっかけに、大学生になったら、iGEMに参加しようと考えていました。

大学入学後は、iGEM Osaka チームに参加しました。参加した当初は、それまで生物学を履修していなかったため、日々行われるteamでの活動についていくのに必死でした。しかし、そこで実験を行っているうちに徐々に知識がついてきて 、2013は Teamリーダーとして参加しました。

Team リーダーとしての活動は、資金調達、研究計画の策定、場所の確保、人材のリクルーティング、成果発表など、iGEMで必要なすべてのことを管理しなければいけなくなり、ただただ大変だったことを覚えています。

iGEM Osaka 2013 プロジェクトは、必須アミノ酸AとBの合成機能を欠損させた2つ株を用意し、トグルスイッチで片方にA、片方にBを合成する酵素を付与したものを作って導入することで、状態Aと状態Bが共存させつつ、細胞の分化のような挙動を再現することを目論んでいました。しかし、それらのプロジェクトのゴールは(当時のチームの実力と時間を考慮すると)とても壮大なものであったために、Jamboreeまでには、十分な結果を残すことができませんでした。

このような経験によって、段階的で達成可能なゴール設定と、達成のための適切なタイムラインの設定を行うことの大切さを痛感しました。このような形で小さく失敗させてもらったことは、経験は現在の仕事においても大きな財産になっていると思います。

iGEMがキャリアに与えた影響

  • iGEMのあとはどのようなキャリアを歩まれていますか?

iGEMに参加した後では、RIKENの高橋恒一先生のチームに参加し、研究活動を開始しました。そこでは、Deeplearning を用いた創薬スクリーニングを自動化する顕微鏡の開発を行いました。

その後、大学院生の時に、仲間と共にドローン関連のスタートアップを始めました。その会社では、資金調達も行い多くの学びを得ましたが、この時はいくつかの要因により結局大学院に戻ってきました。

その後、一回目の起業での経験での反省を踏まえ、自分の専門である機械学習とライフサイエンスの融合領域において、再度スタートアップに挑戦することにしました。そして、現在も経営メンバーとして活動している スタートアップ ( Epistra Inc. ) の立ち上げに参加しました。


現在の会社では、どのようなことを行なっていますか?

Epistra Inc. は、AIを活用してバイオ産業の産業化を加速する会社です。私は、その会社でCTOとして、プロダクトの開発を行なっております。この会社の活動として、日本で有数のSynbioスタートアップであるSpiber inc. (人工たんぱくを使った素材を開発する会社) との共同開発では、タンパク質の培養条件の最適化を行い、数年かけて検討した既存の手法に比べ、収量を26.5%向上させました

また、研究機関との共同研究により、iPS 細胞からRPE 細胞への分化誘導効率を高める培養条件の最適化を双腕ロボットとAIを組み合わせて全自動で行うシステムを開発しました。成果は科学雑誌「eLife」にて発表しました。[ref](https://elifesciences.org/articles/77007)

現在は、島津製作所など複数の大企業(装置メーカ、製薬企業など)とともに、AIを活用して細胞を用いた生産プロセスを最適化するソリューションの開発に取り組んでいます。一口に細胞を用いた生産と言っても、設計、育種、培養条件決定、工業化スケールアップなど様々な種類のプロセスから構成されており、様々なチャレンジしがいのある技術課題が存在します。我々のチームはbiologyの知見と情報科学の知見を組み合わせることで、それらの技術課題を解決し、生産プロセスをより良いものとして再構成することを志向しています。現在インターン生の募集を行っておりますので、少しでも興味を持たれた方は気軽にお声掛けいただけると幸いです。

[ref](https://www.shimadzu.co.jp/news/press/jhhvcxpem3x_sh4u.html )

[ref](https://www.epistra.jp/careers )

  • このような活動の原点は、どのようなものでしょうか?

科学で得た知見を産業化し資金を稼いだ上で、その資金を研究開発に投資するサイクルを、自分自身で回してみたいと考えたためです。

私は科学が好きで、当初はアカデミアで研究者になろうと考えておりました。しかし、日本のアカデミアの上の世代を見ていると、とても多くの優秀な人が、競争が激しいにも関わらず、少ないポストをかけ争い、その上でそのポストを得たとしても、研究以外の仕事に多くの時間を奪われていることに気づきました。このようなことから、既存の枠組み以外の新しい道を模索し始めました。

まず、アカデミアが現在のような状況になっている根本的な要因として、単純に(特に基礎)科学研究へ投資される資金の量が減少していることがあると考えました。その現象を引き起こしている遠因として、科学に投資するとどのように社会の役に立つのか(平たく言えばどの程度投資を回収できるか)が、実例ベースで明確になっていないことがあると考えました。そこで、自らが大学で得た知識と技術を基に事業を起こし収益を上げ、その収益を再び研究開発に投資することで更に大きな収益を挙げられるモデルケースを作っていこうと考えました。

そこで、大学で学んだ技術を使って、1回目のスタートアップを立ち上げました。1回目の経験は必ずしも順調ではなかったのですが、多くの知見を得ることができました。現在は2回目のチャレンジとして再度スタートアップを立ち上げ、軌道に乗せることができてきている状態です。

  • 最後に現在のiGEMerにアドバイスをよろしくお願いいたします。

iGEMを最後までやり切ると、成果が出てもでなくても、学べることが多いと思います。私も、iGEMで得た経験が、今のキャリアの土台になっています。

また、iGEM communityとの繋がりは、iGEM後も新しい刺激を得ることができ、とても楽しいものです。体を壊さない程度に楽しんでください。


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